花って綺麗ですねー。

 

 

 

 

 

雑草でもキレイね

 

 

 

花を綺麗に感じるのはなぜ?

その花自体が綺麗だからですよね?

 

 

それじゃあ、美しい「絵」って何なんでしょう?美しい花が描かれていること?

 

 

 

 

ジョージア・オキーフの作品

 

 

それももちろん美しいのでしょうけど、

それだけじゃあない、

 

「絵画」そのものの美しさってのがあるんじゃないかって僕は思います。

 

 

ひとくちに「絵画」といっても色々あります。

水彩や油絵といった素材、技法の違い、

和洋といった地域による特徴、

具象と抽象など画題の違いなどで大別したりもするけれど、

 

 

その他にもその絵の大きさ、色調や、肌合い、線の感じ、そしてその絵をどこに飾るかなど、

 

 

絵の印象や意味に関係する要素はほんとうに様々。

 

 

まちかどギャラリーで今展示中の八重樫ゆいさんの作品は油絵具を使って比較的小さなサイズで描かれる絵画です。

 

 

 

オープニングのアーティストトークの様子

 

それは花のような、何か一目で分かるような具体的な物事が描かれるのではない、いわゆる抽象画という範疇に属する作品です。

 

 

 

 

抽象画を描くこととは、きっと花の姿かたちを借りずに絵そのものの美しさを探って行くような行為なのではないでしょうか?

 

 

 

具体的なモノの形を拠り所にせずに絵を描くって実は大変な作業です。色や形の無限の組み合わせの中から自分だけの力で最良の選択を見つけ出さなくてはならないのですから!

 

 

そんな無限の可能性の森で道に迷わないように、八重樫さんは自身の制作に制約を設けます。

 

小さなサイズ、曲線を使わないこと、限定された色数は日々制作を続けるうちに取捨選択された作家の個性です。

 

さらに個々の作品ごとにはより細かなルールを事前に定め、制作は進められます。

 

 

 

 

色の選択、重ねる順序、回数などを熟慮して小さな画面に絶妙な均衡を生みだすのです。

 

 

 

 

中には”同じ色名のメーカー違いの絵具を使う”、”筆幅と色との対応”など、ちょっとマニアックなルールを用い、遊び心を込めた作品もあります。

 

 

八重樫さんは今回新たに挑戦をしました。それは旧三浦邸の和室で展示するということです。ギャラリーや美術館とは違い、展示・鑑賞のために設えられた場所ではありません。

 

 

壁に釘は打てないし、そもそも壁面が少ない。作品を照らす照明もありません。

そんな制約ばかりの空間で八重樫さんはやみくもに作品を主張するのではなく、どうやってこの”場”に作品を添わせるかに尽力しました。

 

 

 

 

 

それを踏まえ、もう一度この展示空間を眺めてみると、画面上の格子・グリッドやストロークと明治の日本建築の障子の桟、小窓、棚板の間隔との関係性が面白く見えて来ませんか?

 

 

 

 

画面の中の色・カタチのバランス、それらの置かれれる空間とのバランス、それに一日の内に刻々と移り変わる自然の採光も合わさり、多層的な見え方をして来ます。

 

そんなバランスの妙を楽しむのも絵画の楽しみの方の一つではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

様々な見方が楽しめる八重樫ゆい展「梅雨、南西」ゆったりとご覧になって見てください

 

 

 

 

このブログを書いた人

川鍋 達
千葉県出身。美術を専門に学んだのち、ドイツに渡り、研鑽を重ねアーティストとして活動。国内外の展覧会に参加。帰国後、美術教員を経て地域おこし協力隊として須崎市に移住。経験を活かし、まちかどギャラリー運営のサポートに当たる。協力隊任期が終了後、引き続きまちかどギャラリー館長として企画・運営に従事。アートプロジェクト「現代地方譚 アーティスト・イン・レジデンス須崎」のディレクターを務める。