みなさんは「映画」と聞いて先ず思い浮かべるのはなんでしょうか?

 

 

ディズニーやユニバーサルといった、ハリウッドの超大作映画や人気アニメ番組のお正月や夏休みの特別編を郊外のショッピングモールに併設された大劇場で楽しんだ方はきっと多いのではないでしょうか。

 

 

ところで土佐弁に「あだたん」という言葉があります。脱藩した龍馬のことを「土佐の国にはあだたん奴だ」といったように器に納まりきらないという意味で使うそうです。

 

 

「映画表現」の裾野は広く、昔から大衆娯楽作品だけではない、実に様々なアプローチが試みられています。今はスマートフォンで誰でも気軽に動画が撮れるようになり、発表のプラットフォームも変化して、より実験性、芸術性・趣味性を追求する動きが活発になるかもしれません。このような商業映画とは一味違う、オルタナティブな映画に焦点を当て、映像表現の多様性を味わう映画祭が高知県内の広い地域で開催されています。

 

 

プログラム詳細はこちら→★(高知県立美術館イベントページ)

 

 

須崎市では文化会館とまちかどギャラリーにて「映像と身体」をテーマにセレクトしたユニークな作品をご紹介する他、監督のトークなどを行います。一般的な映画のイメージの枠に納まりきらない“あだたん”映画の世界をこの機会に是非体験してください!

 

 

 

7月24日(日) 【第1会場】須崎市立市民文化会館 大会議室

“吉開菜央監督特集”

 

軽やかな身体表現とダークでファンタジックな深層を併せ持つ吉開菜央監督作品を上映。

 

 

 

 

 

映画作家としてだけでなく、ダンサー・振付家としても活躍している吉開さん。メジャーなところでは米津玄師『Lemon』のMVで出演・振付を担当しています。彼女の監督作品を一度にご覧いただける貴重な機会です。

会場では吉開監督のトークも予定しています。

 

 

7月24日(日) 【第1会場】須崎市立市民文化会館 大会議室

"原將人監督特集"

 

私映画の最前線を走り続ける伝説的映画監督・原將人のライブ演奏付上映。

 

 

 

 

日本映画界のゴダール原將人が完成から20年振りに再演する待望の本格的ロードムービー。
スタンダードな映画の枠を大きく飛び越え、自由な映画の翼を羽ばたかせる。この“MI・TA・RI!”の中で映画誕生の原点が甦り、見事なまでに美しい映像と音楽は、光と影を映画色に潤してゆく。過ぎ行く時の切ない記憶たちが永遠に姿を変えるうつろいの中、ゆるやかに神秘的映画空間が花開き、すべてを愛しく包み込む。その映画への眼差しは、どこまでも暖かく豊穣である。8㎜フィルムとデジタル映像が2面、3面の圧巻のマルチスクリーンで映像投影される上映会場では、一瞬にしてフランクフルトを魅了したミューズの歌声、原の生演奏と、二人のナレーションが生ライブされる。撮影、編集、作曲、作詞等、映画製作のすべてを、新婚当時の原とまおりが二人で手がけている。
第1回フランクフルト国際映画祭観客賞受賞作品。ヨーロッパの映画人、批評家たちも拍手喝采したライブ映画“MI・TA・RI!”の一度きりのライブ上映をお見逃しなく!

 

 

7月23日(土)~7月31日(日) 9:00~17:00 ※7/25(月)休館 
【第2会場】すさき まちかどギャラリー/旧三浦邸

"3人の若手監督"

 

 

そしてまちかどギャラリーでは上記の吉開監督に加え、昨年ここで個展を開催した甫木元空監督、現代地方譚8に参加した池添俊監督作品をご覧いただけます。

 

 

 

・監督:甫木元空「太陽にてらされて」
(2016年/28分/デジタルファイル)

始まりをしった男が、終わりを知る。
1日が始まり、終わる。
そして、太陽に照らされるままに、また1日が始まる。

 

 

 

監督:池添俊「あなたはそこでなんて言ったの?」
(2021年/20分/デジタルファイル)

2020年3月28日「不要不急の外出を控えて」と都知事は言い、予定していた撮影は中止になった。その翌日季節外れの雪は降り、数日で跡形もなくなった。2年前に眠りについた母はまだ夢から覚めることはない。隣の中国人は今夜も夢を見て叫んでいる。部屋が宇宙の中心となり、一緒に住んでいる彼女とは喧嘩が増えた。わたしはカメラをまわして聞こえてくる音に耳をすませた。遠いあなたと、近いあなたが発した言葉。あなたはそこでなんて言ったの。

 

 

そして会期最終日7月31日には池添俊監督のトークを予定しています。


各プログラムの上映・開催時間等詳細は高知県立美術館イベントページをご確認ください。→★

 

 

 

 

9月には大月町に会場を移し、アニメーションによる映像表現の特集が予定されています。
こうした試みを通して、高知でも多様な映像表現を楽しむ機会が増えていくとイイですね!

このブログを書いた人

川鍋 達
千葉県出身。美術を専門に学んだのち、ドイツに渡り、研鑽を重ねアーティストとして活動。国内外の展覧会に参加。帰国後、美術教員を経て地域おこし協力隊として須崎市に移住。経験を活かし、まちかどギャラリー運営のサポートに当たる。協力隊任期が終了後、引き続きまちかどギャラリー館長として企画・運営に従事。アートプロジェクト「現代地方譚 アーティスト・イン・レジデンス須崎」のディレクターを務める。