本展では、高知県須崎市在住の作家・川鍋達が、高知を代表する前衛美術家・高﨑元尚へのオマージュとして、「遊びごころ」をテーマとした新作を発表します。
高﨑元尚は香美市出身。1949年に東京美術学校彫刻科を卒業し、50年代からモダンアート協会展などで注目されて頭角を現します。60年代には関西の前衛美術グループ「具体美術協会」にも名を連ね、2017年に94歳で没するまで国内外で精力的に活動しました。正方形の白いカンヴァス片を画面に整然と並べた《装置》は、63年の初発表以降も生涯を通してさまざまなヴァリエーションで展開され、作家の代名詞として今なお高い人気を誇っています。
一方の川鍋達は、東京やドイツで絵画制作を学ぶなか端正な造形感覚を培いました。その後、2013年に須崎市に移住。現在は「すさきまちかどギャラリー」の館長を務め、地域の美術振興に貢献する傍ら作家として活動しています。その手による作品は、手技を排したミニマルな造形を特徴とし、巧みに操作された色彩やディティールによって見る者の知覚を軽妙にゆさぶります。
高﨑と川鍋。生まれた時代も、育った場所も、学んだ環境も、それぞれまったく異なる2人ですが、両者の作品には図形に対する愛着や数学的な計算、なにより理知的でありながらも遊びごころにあふれた造形などに相通ずる空気が感じられます。本展では、高﨑の生涯と制作にシンパシーを覚えた川鍋が、高﨑の代表作である《装置》に自作をもって応答します。大正時代の旧商家を前身とするまちかどギャラリーの空間を舞台に繰り広げられる、これまでにない試みをお楽しみください。
本展の開催にあたり、高﨑元尚氏のご遺族の皆さまに全面的なご協力をいただきました。
展覧会関連トークイベント 川鍋達 ✕ 塚本麻莉
出品作家の川鍋達と本展キュレーターの塚本麻莉(高知県立美術館学芸員)が、本展のエピソードをお話します。
日時:12月5日(土)、13:00~
開催場所:暮らしのねっこ(高知県須崎市青木町5-14)
定員:10名(先着順)
申込方法:QRコードを読み取り、専用申込フォーム(https://forms.gle/Kqqg1NSNpu26YZwk7)からお申し込みください。